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あなたの塀は大丈夫?コンクリートブロック塀が危ない!

あなたの塀は大丈夫?コンクリートブロック塀が危ない!

2018年6月に起こった大阪北部地震では高槻市では震度6弱を記録。

その結果、小学校のコンクリートブロック塀(CB塀)が通学路側に40メートルにわたって倒壊し、9歳女児が亡くなってしまいました。

この話題は大きく報じられ、コンクリートブロック塀の危険性が周知されるようになりました。

 

でも、この事例では、コンクリートブロック塀はかなり高く積み上げられていたから倒壊したんでしょ?

私の家のブロック塀はそこまで高くないし、古いけど信頼できる工務店さんに頼んだから大丈夫。

ブロック塀が倒壊するなんてことはないだろう。

 

こんな風に考えていませんか?

それは大きな間違いです。

実際には今までの過去の大きな地震において、毎回のようにコンクリートブロック塀の倒壊により死傷者はでており、以前から問題視されていました。

 


 

熊本地震(2016年)では、約2.15メートルのブロック塀が根元から倒れ、近くにいた29歳の男性がブロック塀の下敷きとなり亡くなりました。

また、59歳の女性が左大腿骨、左脛骨を骨折し後遺症の残る重傷を負いました。

遺族は、ブロック塀の所有者に対して、約6800万円の損害賠償を求める民事訴状を起こし、また過失致死罪、過失致傷罪で刑事告訴しています。


 

日本建築学会調査報告では、1978年に発生した宮城県沖地震での補強ブロック塀・石塀の倒壊による死者が18名であり、地震による死者数28名の半数を超えたと報告されています。

これを受け、1981年の建築基準法の改正につながり、以後改正を繰り返し、現行の建築基準法となっています。

阪神淡路大震災では約1500件のブロック塀が倒壊し、数十名が倒壊したブロック塀の被害に遭いました。

※国土交通省住宅局より

 

また、全国建築コンクリートブロック工業会調査が行った、東京都品川区荏原地区でのブロック塀の点検調査によると、約四割のブロック塀が建築基準法違反であったという報告があります。

さらに、2016年に起こった最大震度7の熊本地震では倒壊したブロック塀のなんと約9割が現在の耐震基準をみたしていなかったようです。

※国立研究開発法人建築研究所の被害要因調査報告より

 


 

いかがでしょうか?いかに危険なコンクリートブロック塀が身近にたくさんあるのかご理解いただけたと思います。

 

古いコンクリートブロック塀の場合、建築した当時の基準で、しっかりした工務店が工事していたとしても、昔と今とでは基準が大きく変わっています。

昔の基準で多くの被害が出たからこそ、今の基準は厳しくなっているわけです。

つまり、現行の建築基準法を満たしていなければ、危険なコンクリートブロック塀である。ということがいえると思います。

 

また、建築基準法違反のブロック塀を放置し他人に損害を負わした場合、損害賠償のみならず、刑事罰に問われる可能性があります。

自分の家のブロック塀が建築基準法違反だったなんて知らなかったでは済まされません。

また災害時には倒壊したブロック塀は道路をふさぎ、被災者の避難や救助活動を妨げてしまいます。

特に通学路などの道路は避難や救助活動に重要な道路でありこれらの道路に面したブロック塀は、その地域に住む人たちの安全に関わってきます。

損害賠償・刑事罰の可能性も!?


 

■あなたの塀は大丈夫?ブロック塀を点検してみましょう!

これらのチェックポイントにひとつでも当てはまれば改善が必要です。​

チェック項目 当てはまればチェック!
塀の高さが2.2メートル以上ある
ブロック塀の厚さが10cn以下である
(高さが2メートル以上あり、ブロック塀の厚さが15cn以下である)
高さ1.2メートル以上あるが、控え壁がない
(控え壁が塀の長さ3.4mごとに塀の高さの1/5以上突出していない)
コンクリートの基礎がない
ブロック塀にひび割れがあたり、傾きがある
ブロック塀に鉄筋がはいっているか

※鉄筋が入っているかについては、鉄筋センサーなどを使用すれば分かりますがあまり身近ではない機器で、使い方も慣れが必要なので自分では調べることが難しいと思います。

ブロック塀の点検チェックポイント 国土交通省HP

 


 

危険なコンクリートブロック造の塀(CB塀)の例

控え壁がない!

ひび!

傾きあり!

一般的なブロックは高さ19㎝です。ブロック塀が10段程度あれば2.2メートル以上ある可能性があります。

このブロック塀は6段あり基礎を含めると、高さ約1.2メートル以上と推定されます。その場合控え壁が必要ですが、それがありません。

また基礎もなく、ブロックのひび割れもあり、完全に危険なブロック塀と認定できます。

注意して歩いてみると、このようなブロック塀は驚くほど、多くある現状があります。

 


 

■お住まいの市町村から補助金がでる可能性があります!

ブロック塀倒壊被害死亡事故をうけ、コンクリートブロック塀の倒壊などによる被害の軽減と道路利用者の安全確保のために、ブロック塀の撤去に補助制度を設ける自治体が増えています。

お住まいの自治体のホームページから補助金対象物の詳細を見ることができます。

建築物が所在する各地方自治体にお問い合わせください。

例えば、ブロック塀倒壊事故のあった大阪府高槻市の場合はブロック塀の撤去工事について最大30万円の補助がでます。

 


 

■注意!2019年から開始!一部のコンクリートブロック塀の耐震診断が義務化されます!

商業施設やビル・マンションなど一定規模の建物で、地方自治体が指定した災害時の避難経路に面しているブロック塀に関して、耐震診断が義務化されることになりました。

もともと避難経路沿いにある一定規模の建物には耐震診断を義務付けられていましたが、今回の法令では、その義務付けをブロック塀まで拡大することとなりました。

では、どんなブロック塀が耐震診断の義務化の対象となるのかチェックしてみましょう。

どれかひとつでも当てはまれば耐震診断が必要となります。

 

また、規模要件については、一定の範囲内で自治体が変更することができ、自治体で対象となる指定道路が変わってきます。各自治体のホームページで確認してください。

 

チェック項目 当てはまればチェック!
1981年以前に設置されたブロック塀である
前面道路に面する部分の長さが25mを超え、かつ、その前面道路に面する部分のいずれかの高さが、道路の中心からの距離の2.5分の1を超えるブロック塀
耐震診断が義務付けられていた商業施設、マンション、ビルなどの建物
詳しくはこちら→建築物の耐震改修の促進に関する法律等の改正概要(国交省)

 

参考に大阪府高槻市では

  • ・高槻市が指定した道路に敷地が接する建築物
  • ・昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建築物(旧耐震基準)
  • ・建築物のそれぞれの部分から道路の境界線までの水平距離Aに、道路幅員の2分の1に相当する距離L/2(幅員が12メートル以下の場合は6メートル)を加えたものに相当する高さを超える建築物

となっています。

(参考)高槻市耐震診断義務化の指定道路について

 

耐震診断が義務付け対象となる建築物への耐震診断・耐震改修についても補助制度があります。

各地方自治体から補助金がでる場合があります。

もし、お住まいの地方自治体で補助制度がない場合、国から補助がでる場合があります。

その場合は、お近くの設計事務所にご相談いただくか、ご自身で耐震対策緊急促進事業実施支援室にお問い合わせしていただければと思います。

所有するブロック塀が耐震診断の義務化の対象となった場合は、耐震診断が必要です。

耐震診断は、国土交通省に登録された講習を受けている建築士によって行うことができます。

自治体ホームページで、国土交通大臣指定講習「既存木造住宅の耐震診断・改修講習会」の受講修了者の所属する事業者リストを載せている自治体もあります。

お住まいの自治体HPを参照してみてください

 


 

自分の家のコンクリートブロック塀が危険と判断した場合どうすればいいの?

自身で行った簡易チェックや、構造設計士によるコンクリートブロック塀の耐震診断の結果、「危険」であると判断されれば、控え壁を作るなどのブロック塀の補修をするか、撤去・交換するか必要になってきます。

ブロック塀の解体、基礎工事、リフォームする場合など工事内容は様々ですので、種類によって費用も大きく異なってきます。

 


 

施行会社選びは慎重に!きちんと耐震化されたコンクリートブロック塀を作るための方法

外構工事施工会社などに相談・依頼しようと思って、きちんとした業者に依頼できるかな?どうやって選べばいいのかな?などの不安もあると思います。

例えば、熊本市ではブロック塀の改修に関する相談窓口や、解体・改修施工会社一覧などをホームページ上に載せています。

(参考)熊本市HP

お住まいの各自治体のホームページもチェックして見て下さい。

 

また、既設のブロック塀の性能評価をするブロック塀診断士という制度もあり、施工会社を選ぶ判断基準のひとつとなります。

しかし、いざブロック塀を補強したり、新たに設置するとなれば、新設するブロック塀の構造計算がきちんとできている必要がありますが、それは構造計算が出来る建築士(構造設計士)しかできません。

施工会社によってはこの作業がきちんと行えないこともあります。

施行会社に外構工事を依頼するとなると、

施工会社→見積もり→施行という手順が一般的ですが、施工会社がきちんと、ブロック塀の耐震構造計算できるかは不透明です。

 

きちんと耐震されたコンクリートブロック塀を作るためには、最初に構造計算のできる構造が得意な設計事務所に依頼すれば確実です。

設計事務所→設計→相見積もり→施工

という流れで決めれば、きちんと構造計算し、耐震化されたブロック塀の設計図をもとに、相見積りを取ることができますので、値段を見ながら、自分たちで施工会社を比較・検討することができます。

最初の窓口として、構造についての知識がしっかりある設計士に依頼するメリットは、確実に耐震化されたブロック塀を建てられるということです。

 

災害大国日本。あなたのお家のブロック塀が崩れる前に、きちんと見直してみませんか?

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