ボーリング調査(標準貫入試験)とスウェーデン式サウンディング試験について
S造で一定規模、一定スパン以上の建築物の場合、ボーリング調査を行った方が良い理由、サウンディング試験のみではだめな理由
- サウンディング調査(SS試験、SWS試験)は、手軽に行なえ価格が安いことがメリットですが、簡易的な調査の為、構造設計上の制約があります。それが、設計地耐力120kN/m²(長期)の上限です。そのため、いくら地盤が良くてもこれ以上の設計地耐力で設計できず、不経済な基礎の設計になる可能性があります。
- サウンディング試験では土質がおおよそにしかわかりません。そのため、基礎下を柱状改良したい場合、その設計に支障が出る場合があります。例えば腐植土があると固まりにくく、固形剤の種類や量を変える必要があります。
- 比較的浅い深度でしか調査ができません。また硬い支持層の貫通が困難です。なので、硬い層が出て、一見支持層となりえそうな場合でも、その層圧が薄く、その下に軟弱地盤が続いている場合は、その層を貫通してしまうと、沈下の原因となります。
その他のリスクとして設計精度が下がることによる、手戻りのリスクがあると思います。
例えば、構造設計が完了し申請がおりたとします。その後の積算で金額が合わず、基礎を小さくできないか、地中梁を抜けないか、という話になった場合、確認申請は出し直しになりますし、構造設計の費用も追加分を頂く必要があります。
また、施工の段階で改良できない、配合試験の結果、見積もりの金額ではできない、という可能性もあります。
もちろん、サウンディング試験のみで基礎の設計ができないというわけでは有りません。
このようなことがある、というリスクことを承知の上で設計する分にはよろしいかと思います。
弊社の考えとしては、積算での手戻り、設計変更のリスクを考えると、最初からボーリング調査をされる方がよろしいと思います。
地盤に傾斜がある場合などは、複数箇所のボーリング調査や、ボーリング1ヶ所+サウンディング試験などと組み合わせるのが良いと思います。
どのような調査をしたほうが良いかはその土地の状況によりますので相談いただければと思います。
あきらかに地盤が良好な場合で、サウンディング試験で取れる設計地耐力120kN/m²の頭打ち(上限値)を超えて基礎の設計したい場合
上述の通り、サウンディング試験はボーリング調査の場合と異なり、基礎設計時にとれる長期設計地耐力に120kN/m²という頭打ちがあります。
ただ、予算の関係でボーリング調査(標準貫入試験)は行わない場合ないが、サウンディング調査の結果、地盤が良好で120kN/m²で設計するのはもったいないという場合があります。この場合は、建築基準法令93条を根拠に設計地耐力を定めることができる場合があります。(各土地、地盤により状況が異なりますので、必ず関係する行政庁や審査期間に相談を行って下さい。)
第93条 地盤及び基礎ぐい
地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によつて、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。ただし、次の表に掲げる地盤の許容応力度については、地盤の種類に応じて、それぞれ次の表の数値によることができる。
地盤 長期に生ずる力に対する許容応力度(単位 kN/m2) 短期に生ずる力に対する許容応力度(単位 kN/m2) 岩盤 1,000 長期に生ずる力に対する許容応力度のそれぞれの数値の2倍とする。 固結した砂 500 土丹盤 300 密実な礫層 300 密実な砂質地盤 200 砂質地盤 ※ 50 堅い粘土質地盤 100 粘土質地盤 20 堅いローム層 100 ローム層 50 ※(地震時に液状化のおそれのないものに限る。)
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